ウリンはフナクイムシに抵抗性があるって本当?

0

投稿者:technogreen | カテゴリ:ウッドデッキ用木材について | 投稿日:2012年10月22日

タグ: , , , ,

今日は、いつもの施工例紹介でありません。ウッドデッキ用木材で気になる事がありましたので・・・・。

昔から付き合いがある建設業者から、「海中に作る構造物を木材で作りたいんだけどイペで見積りして」と電話があり。

即答で「NO!海の上はいいけど海中はフナクイムシにやられちゃうよ。」

建設業者「んじゃ、よくフナクイムシに強いと言われているウリンでいいから設計して~」

「ウリンはもっと喰われちゃうよ~!」

建設業者「ホントかよ?ネットじゃ、あちこちのホームページやらブログでウリンは最強、シロアリ、フナクイムシにも強いと書いてあるぞ!!」

「たぶんそれは海外国籍のフナクイムシには強いという話で、日本国籍のフナクイムシにはまるで弱くて喰われるという話ダヨ。たいてい最後に海外ではそう言われているとからしいという言葉がついていなかったかい?えっ、断定的に書いてあるところもある?それも木材の専門業者で・・・・・・・」

・・・・ちなみにフナクイムシには国籍は無いようです。いろんな種類はあるみたいですが。また温度や塩分濃度により、生息分布もあるみたいですが・・・・

と、こんな電話で、木材を海中で使用するのは諦めてもらったんですが、海上で使用する分には塩害の心配もなく、フナクイムシは海の上へは上がって来ませんので大丈夫、安心して使用できます。

ところでこのフナクイムシというやつは、ムシという名が付いていますが、正体は二枚貝の一種です。実は15~16年前に今回と同じように海中での用途でフナクイムシに強い木材はないか?と話があり、イペと他のハードウッド3種類を海に1年間沈めて様子をみるという原始的な定性試験?を行なってみたことがあるんですが、ものの見事に4本ともアウト!潜り込んだ穴と異臭が忘れられません。

このとき初めてフナクイムシは貝なんだと知った次第です。またその後、トンネルを掘る優れた工法である「シールド工法」はこの二枚貝からヒントを得て開発された事もついでに知りました。・・・・・フナクイムシ!凄いやつだな。

そんな食害されたイペを見てるんで、テクノグリーンのホームページや資料では「フナクイムシに弱い」、聞かれれば「負けちゃいます~」と言っているんですが。

余談はさておき、このときの実験ではウリンは未だ輸入されていなかったので、実験はしていませんでした。

でも、ちゃんと実験をされている所はあるんですよね。

「独立行政法人 港湾空港技術研究所」・・・・ 昔まだ運輸省港湾技術研究所という名称だった頃、やはり海関係の仕事でお世話になった事があるんですが、立派な研究・実験をされているとろです。・・・・ここで、「無処理木材の東京湾沿岸での海虫類食害ならびに気中での物理劣化に関する実験」をされています。この実験資料では、イペ材よりウリン材は数倍のスピードで食害され(10ページの図-10)、16ページで食害されたウリン(写真-A.3)が掲載されています。

無断転載、コピーは許可されていませんので、リンクしておきます。興味のある方は直接上記からご確認してください。全部で16ページのpdfファイルです。・・・・読み応えがあります。

それにしても、今回ひょんなことから、木材とフナクイムシの話題になり、ネットで「ウリン フナクイムシ」で調べると出るわ出るわ、どのサイトも皆同じフレーズで「ウリンはシロアリ、フナクイムシに抵抗性があり、とか最強」と書かれていました。

一般の方がブログで書かれているぶんには愛嬌かもしれませんが、輸入会社、販売会社、ウッドデッキの施工会社までが書いていたんじゃ・・・・・・シロアリにも本当に強いの?本当に腐朽にも強いの?と疑問を持たれてしまいますよね。

まぁ、「新聞の情報は90%、ネット上での情報は40%しか信用していない」というアンケート調査もあるらしいから・・・。このブログも40%の信用度合いでお読みいただければ。。。。。。気が楽です。

次回は、いつもに戻りウッドデッキ施工例を紹介させていただきます。