横浜市のお客様からサイズを入れた簡単な絵がFAXされてきました。「庭のウッドデッキと外構の木製フェンスが腐ってきているので、それの撤去とイペ材でのウッドデッキとフェンスを見積りしてください」
概算見積もりの後、「注文したいので打ち合わせに来てください」ということでお伺いしてみると。
既存の車庫上デッキ&フェンス
下がコンクリートの車庫(ガレージ2台分)で、家が一段高くなっている敷地に建っている形状です。よく見かける形状です。・・・・が。
腐ってボロボロのウッドデッキ
床板も腐ってボロボロになっているので、簡単にはがせます。そしてデッキ下を触ってみると土でもなければコンクリートでもない!
お客様に建てた時の確認申請図面を見せていただくと無い!庭?のウッドデッキ部分の天井というか蓋が書かれていない~!どうもコンクリート擁壁の天井部分は構造用合板を渡し、その上を塗膜防水してウッドデッキが置かれてる?
ひとつ一つの施工には問題が無い?のかもしれませんが、トータルの設計に問題があるんじゃない?載荷重どころかウッドデッキの自重だけでさえ撓んでいるようです。まったく撓みの構造計算をしていないような・・・・。多分、防水層もやられている予感がして、お客様に「下の車庫、雨漏りしていませんか?」
「はい。雨漏りもしているので、一緒に防水工事もお願いします」・・・・もう乗り掛かった船なので防水工事も引き受けちゃいました。と、言っても防水工事は専門でないと大変な事になるので、旧知の防水材料メーカーに連絡して解体時に現場を見てもらいながら適切な方法を検討することに。
解体中のウッドデッキと既存の下地がこれ。
形をなしていないウッドデッキの根太
解体するときに鋸が必要ありませんでした。手で触るだけでくずれていくような感じです!今まで数十箇所以上解体していますが、こんなのは初めてです。いかに撓みを考慮した設計と施工方法が必要かの見本のようなところでした。
これが欠けていれば、耐腐朽性が高いイペやウリンでも間違いなく腐ります。・・・・「腐らない木材」「一生もの」な~んて言葉もありますが、腐朽試験をやったことがないか、そのデータを見た事すらない人が言ってるんじゃない?
残念ながら「腐りにくい木材」はありますが「腐らない天然の木材」はありません。・・・・・そんな木材があれば100年でも200年でも保証出来ちゃうと思いますが・・・・・・
腐ったウッドフェンス
こちらは擁壁上にあるウッドフェンス。クロスフェンスです。
一見、何ともなさそうに見えますが、こちらも同じく施工法に問題ありと、木材が米栂の為、腐っていました。
さぁ~。これら全部を解体撤去し、防水工事も終わって、ウッドデッキとウッドフェンスの施工完了は次回で!
今回のご紹介は、傾斜地でのウッドデッキです。
お客様から電話をいただきました。「施工地域に山梨県が入っていないようですが、ダメでしょうか?」
すぐに断れない私はつい理由を聞いてしまうと。「山梨県内にある別荘のウッドデッキが腐ってきているので換えたい。イペ材を良く知っていて、ウッドデッキならイペ!今回別荘のリフォームするので、一緒に地元の業者へ頼んだが、イペでのウッドデッキ施工はできないと断られ他の材を薦められた。」
要約すると、まぁ~、ざっとこんなお話でしたので、中央高速で八王子のちょっと先が山梨という感覚の私は「少々、出張経費が掛かりますが、それでもよろしければ」・・・・・この後、詳しいご住所を聞くと。
「八ヶ岳の麓の北杜市です」・・・・えっ!八ヶ岳って長野県じゃないの?ちょと先が長野県?八王子からは、ずぅ~と先!・・・後の祭りです。
まっ、仕事で空気の良い場所へのドライブも、たまには良いもんです。イッテキマシタ!日帰りで。
既存の傾斜地ウッドデッキ正面
よく山の別荘地で見られる傾斜地に建てられたウッドデッキです。
傾斜地ウッドデッキの既存基礎
柱が載っている基礎は凍上による被害は起きていないようです。ちなみにこの地区の凍上深度は90cmとか。しかし基礎の大きさが少々小さく、安定性に欠けるので今回はテクノグリーンのオリジナル柱金物を使用の上、基礎の増し打ちをする事に。この提案には、お客様も基礎の大きさに不安を持っていたらしく了承していただけました。
腐ったウッドデッキ床板
お客様に聞きますと使用木材はヒバだそうです。
もう、あのヒバ独特の香りはしていませんでしたが、切断したら中からは良い香りがしてきそうです。国産の木材の中ではこのヒバの香りが私は一番好きです。昔むかし(何十年前じゃい?)、公共事業で、床板はイペ、手摺は青森ヒバという工事を行った事があり、思い出されました。
ちなみにこの香りはヒノキには殆ど含まれていないヒノキチオールという成分で、レッドシーダーの香りもこの成分とか。
腐ったクロスフェンス
床板より、いつものクロスフェンスの付け根部分。これが今回も腐っていました。せっかくヒバを使っているのに、もったいないですね。
お客様に聞くと、やはり一番最初に腐ってきていたそうです。別荘・山荘ではこのクロスフェンスが多く見られますが、施工方法を間違えると、ここからやられます。・・・・・フェンス形状の変更が決定。
採寸・調査・打ち合わせを終了し、帰りがけ近くの別荘地を数分だけ、散策して日帰り。・・・・・残念。どこかのコテージにでも泊まりたかった。というより、家に帰りたくなかった・・・・・。(これが本音か?)
でも、気持ちいい空気をたくさん吸えて、良い一日でした。また後の祭りをやってしまおうかな?
この施工完了編は次回で!
8年前にパーゴラ付きウッドデッキを施工させていただきました、杉並区のお客様から電話がありました。
「8年前にウッドデッキを作ってもらった杉並のKですが、今度は2階のベランダへウッドデッキを敷いてもらいたいのですが・・・。実はパーゴラデッキの数年後に、自分でウッドパネルを購入して敷いていたんですが腐ってきてるので、撤去と廃棄処理もお願いしたいのですが・・」
了解。ということで早速、ベランダ専門の採寸・調査担当者がお伺いして。まずは8年前施工のパーゴラ付きウッドデッキをパチリ。
施工後8年経ったパーゴラ付きウッドデッキ
8年経っているので当然、退色はしていますが、腐朽やシロアリは全く問題無しです。
公共の公園では何度か設計・施工しましたが、ルーバーのデザインは個人邸では珍しい井桁格子タイプです。・・・写真のように「よしず」を設置する目的でこのデザインとしましたが、しっかりと「よしず」を利用されていました。
お客様からも「8年前にイペで作ってもらいましたが、何の問題もなく感謝しています。」と、おっしゃっていただき、気を良くして2階ベランダの採寸へ向かったそうです。
ところどころ張替え交換しています
腐ってきたウッドパネルを少しづつ、交換してきたようですが、もう限界。
バラバラになってるウッドパネル
下が樹脂製のプレートになっているウッドパネルは、隣り合う樹脂プレートの凹凸をはめ込むだけの為、夏に熱くなってくると伸長変形して外れる上に、そのまま変形して元に戻らないようです。今まで何度かこのタイプの取り換え工事を行ったところは皆同じ現象でした。
ボロボロのウッドパネル
腐っているだけではなく、割れ、反り、またこの現象により裏側の樹脂プレートから外れるはで大変なことになっています。
おまけに「すのこ状に」作られているので、すき間からゴミは落ちるわ、下の樹脂プレートの脚によりゴミは取りにくいわで、困っていました。ついでに木材にはリブ(溝)加工までしているので表面の掃除だけでも大変です。溝にこびりついた泥汚れは、なかなかとれません。
今回のように庭デッキとベランダデッキでリブ付き、リブ無しの2通り使用していると、その差がはっきりとわかります。
販売者側の勝手な思い込み?や、自社の都合でこのリブ付きを販売しているのが現状ですが、もう少しお客様の使いやすさを考えて売って欲しいもんですネ!・・・・17年間の施工経験からすると、家庭用のウッドデッキにリブ付きを使用するメリットは、ほとんどありません。
・・・・ん~。あえてメリットを上げれば、発生する干割れを目立たなくすることかな?ハイ、干割れを防ぐわけではありません。
ということで、2階のベランダデッキは当然、リブ無しで施工。・・・・・次回、後編で施工完了したウッドデッキを紹介させていただきます。